平成26年5月5日
秦西平師の講演「気超科学と宇宙生命哲学新病気学」について
推薦者:徳永康夫(日本サイ科学会理事)
国と国が争うなどと言うことは、一部の私利私欲に駆られた政治家の扇動に基づくものであって、宇宙から見ればすべての人間は等しく尊い存在であって、にこやかに笑い、助け合う関係であることは、皆さんご高承の通りです。本日は、私たちの日常使っている漢字の生みの親である中国から、単身来日し、日本人の心身の健康のため、献身的に活躍しておられます、嵩山(すうざん)少林寺の最高師範である秦西平師の人となりと、師の広大深淵なる宇宙生命哲学ならびに講演の概要を、推薦者としてご紹介、解説させて頂きます。
従来の科学の一般常識では、「意識」と「物質」は、別物であり、物理学で「意識」を取り上げることはありませんでした。つまり、「意識」とは脳(又は心)の中にある、物理的には存在しないものであり、一方「物質」とは計測できる、物理的に存在するものであるという考え方です。いわんや、「意識」と「物質」の間に、物理的な関係はないとされています。
ところが、秦師は、自身の体験から、気功の「気」は、正に、「意識」であり、外気功を施すときに、「意識」が、離れた場所にいる人の体や臓器などの「物質」に物理的な作用をする事実を、知っているのです。しかも、その「気」には、気功師の生命情報(意念)を入れることが出来るのです。そこで、秦師は、“「意識(気)」は生命情報を入れることが出来る「物質」である”という結論に到達したのです。
具体例のひとつを紹介しましょう。2000年に、国内外の歯科医師立ち合いの下、新
宿アルプス歯科の寺川國秀歯学博士が抜歯手術を行いました。その際の麻酔を、世界で初めて、気功で成功させたのです。その記録ビデオは、医療界と気功界の双方に大変注目されました。
その時の秦師の「意念(気)」には、①麻酔をかけるという具体的な情報と、②患者の
歯とその周辺という、特定の場所という情報を入れて送ったことになります。つまり、①「具体的内容」と②「方向性」が入っていて、患者の患部という「物質」に、“物理的な影響”を与えたのです。これは、従来の科学では説明できません。従って、師は、気功の体験を通じて得られた事実と論理的考察に基づき、科学を超えた「超科学」を探求し、目には見えない世界を科学的に説明する、「九層十次元宇宙模型と陰性物理学」を編み出したのです。今回の講演のタイトルを「気超科学」とした所以です。
もう一つのタイトル、「宇宙生命哲学新病気学」の背景は、人が本当の健康を獲得するには、「現代西洋医学」には大きな不備があり、一方「中医学」(東洋医学)でも解決しない問題があるので、秦師は、「新しい病気学」を提唱しているのです。特に現代西洋医学は、身体や臓器などの「物質」のみに焦点を当てていて、「意識」に対する理解と対応がすっぽりと抜け落ちています。秦師は、人間の生命、意識、身体が、宇宙と密接に繋がっているという事実を説明するために、「宇宙生命哲学」というべき観点が必要であると主張しています。人間の「意識」は<6層の多次元構造>であり、「第1層次」では、個人・自我の世界ですが、「第6層次」では宇宙に繋がり、宇宙そのものでもあるというのです。後程、もう少し深く紹介しますが、6層もの次元を持つ「意識」を無視しては、病気に対する正しい理解も正しい治療も出来ないと言うのです。
先に進む前に、ここで、秦西平師の文武両道における、超人的な修練と研鑚について少し触れておくことは、師の哲学の理解に役立つと思われますので、ご紹介します。
10歳の頃から、老子・道教の聖地、宝鶏市で気功・武術の修行を開始すると同時に、孔子の儒教、周易(東洋易学)、中医学(東洋医学)などを独学で身に付けていきました。16歳で中国武術の最高峰である、嵩山少林寺の第33代釋永開大師に見出されて入門し、釋延平という法名ももらったのです。少林寺での、禅・瞑想の修行は1日に10時間以上、武術・気功の修練は6~8時間に及ぶと言う、想像を絶する厳しい修行を課せられることで有名ですが、秦氏はその中でも別格の修行・成果を上げたのです。
その一例として、18歳の時、それまで何十年も誰も、挑戦しなかった「大閉関(だいひかん)」それも「百日大閉関」をやり遂げたのです。「大閉関」とは、レンガで締め切った狭い空間の中で、一切外に出ず、座禅・断食を行うというものです。日本でも比叡山延暦寺では、千日回峰行の最後に9日間の断食・断水・不眠・不臥の「堂入り」をするとされますが、師は100日間の座禅とその中で28日間の断食を行じたのです。
これを完遂するには、強靭な精神力、強い肉体と心身の限界を超える際に必要な気の力、気の流れの良さ、レベルの高さが要求されます。詳しいことは、氏の「少林寺気功理論(春秋社)」を一読されることをお薦め致しますが、その中で、“28日間食べないで過ごすことは、人間の世界から外れることであり、自分の欲望(食欲、睡眠欲)を乗せる肉体の存在が完全になくなり、意識と精神のみが残った状態”になり、“特に真っ暗な大閉関では、人間の「意識」と「宇宙」は近くなり、自然に宇宙とエネルギー交換する能力が出てきます”と述べています。
そして、師の諸々の修行成果が高く評価され、22歳という異例の若さで、第34代最高師範に推挙されたのです。
以上は、師の「武の身体と禅の心」の研鑚の面でしたが、師は「文(学問)」の面でも卓越した研鑚を積んでいます。1978年、20歳で、当時数千倍と言われた超難関、西安理工大学に優秀な成績で合格しています。そこで物理、化学、天文学、熱力学、電気、量子力学など現代科学分野を多岐に亘って修したのです。さらに、少林寺気功理論と深い関係にある中医学理論にも精進し、「中国国家主任中医師」の資格を取り、後に「東洋医学博士」の称号も取得しています。
西安理工大学卒業後、宝鶏市熱処理センターに就職し、数百人の部下を持つ地域主任となって、実業の面でも、手腕を発揮しました。1989年、31歳で、訪日団団長として、約100名の中国企業の社長や副社長を帯同して来日。多摩に1年間滞在し、最先端の技術を習得します。1993年、中国政府から35歳という異例の若さで、高級工程師資格(教授相当技師)を授与され、同年、中国政府派遣の国費研究員として、再来日し、東京大学工学部セラミック研究室で研究に従事しています。
翌1994年、中国での将来を約束されていた国費留学生の立場を捨て、日本に留まることを決意しました。その理由は、師から見ると、当時の日本人は、心身共に、閉塞状態にあるように感じたのです。日本人にこそ、少林寺の教えと気功・武術を伝え、心身の健康向上に貢献したいとの強い想いがあったのです。
「全日本少林寺気功協会」を設立し、各地に支部を設立、「気功指導員養成コース」も創設しました。2005年サンフランシスコにおける、第8回世界気功大会にて最優秀気功師賞を受賞したり、3回にわたる、「世界気功養生中医易学武道総合大会」を主催するなど、日本及び世界において、多方面に活躍しています。
ここで、秦師の宇宙生命哲学に基づく「新病気学」に戻って、少し補足説明をします。前述の様に、先ず、人間の「意識」を<6層の多次元構造>であるとします。「第1層次」では、個人・自我の世界(顕意識)、「第2層次」は飲食・歩行などの習慣的動作の世界(下意識・前意識)、「第3層次」は病気発生・自己治癒の世界(狭義潜意識)、「第4層次」は透視などのESP超能力の世界(超感潜意識)、「第5層次」はサイコキネシスなど他に影響力のある超能力の世界(仕事潜意識)、「第6層次」は宇宙に繋がり、悟り、宇宙そのものでもあるという世界(自性潜意識)と分類しています。
さらに、師は、「全息律(ぜんそくりつ)」という概念で説明します。「全息」は中国語で、「全」は“全体”を表し、「息」は“情報”を意味します。「全息」とは、もともとは、物理学のホログラム写真に使われる概念で、フィルムのほんの一部の破片からでも、全体の画像が得られることを指します。つまり、「部分の中に全体の情報が含まれていること及びそのような状態にある、全体と部分の間の関係」を表す概念です。例えば、人間の身体は60兆個の細胞で出来ていますが、その部分である細胞1個1個の中に、全体を形作れるDNAがあるという関係のようなものを、「全息対応の関係=全息律」と言います。
具体的には、①人体の細胞や臓器などの部分は、身体全体と全息対応している。②人間の生理(身体の反応)と心理(意識)は、全息対応している。③人間の生理(身体の反応)と宇宙(人類社会を含む)は全息対応している。④人間の心理(意識)と宇宙(人類社会を含む)は全息対応している。⑤人間(生理=身体の反応)+心理(意識))と宇宙(人類社会を含む)は全息対応している。と表現しているのです。
つまり、人間の生命を構成する、6層の多次元構造の「意識」と「身体」(生理)が、「宇宙」(人類社会を含む)と密接に繋がっている(全息対応)していることを理解することが宇宙生命哲学であり、「新病気学」の基本だというのです。病気生成の原因を究めるにも、病気の治療に当たるにも、「意識の6層次の構造」をわきまえ「全息律」を踏まえて対処することが最も肝心なことであると言うことです。
詳細はここでは到底述べる紙幅がありませんので、秦師の講演または、著書にお任せしたいと思いますが、「病は気から」の「気」が「意識」であるならば、見事に理がかなっていることをご自分で確かめて頂きたいと思います。
また、「宇宙の構造=宇宙観」についての、アインシュタインなど西洋の座標を用いた数理的な多次元理論と、中国に2千年前から存在する、「陰陽大極図」を用いる東洋易学(周易)の哲理的な「宇宙観」の双方を踏まえた上で、秦師独自のユニークな「九層十次元宇宙模型」と言う宇宙観を編み出し、提唱しています。
「九層十次元宇宙模型」とは、大まかに言えば、円で表されている「陰陽大極図」の外周線上を10次元(=0)とし、宇宙構成要素を陽性物質(実子=低光速)と陰性物質(虚子=超光速)とに分け、その境界線を中性波・粒子(光子・電子・磁子=光速)とします。実子が占める白い部分は陽性世界(1次元~4次元)とし、虚子が占める黒い部分は陰性世界(6次元~9次元)とするのです。その境界線は5次元(光速)世界とするのです。さらに、白い部分にある黒い点は、陽から陰に変化している状態を表し、黒い部分にある白い点は、陰から陽に変化している状態を表していると言うのです。
このモデル(宇宙模型)であれば、「物質」は陽性世界の粒子状実物質・実子であり、「意識」は陰性世界の波状虚物質・虚子であり、「電子・光子・磁子」は波粒状光電磁場物質・中性波粒子の3つに、見事に整理出来ます。アインシュタインの相対性理論では光速より速い状態はないと決めつけていますが、目に見えない世界、意識や気や霊
の世界では、超光速なのですから、この秦師の提唱する理論は、合理的な、正に「超科学」と言えるのではないでしょうか。
秦師は、「気とは何ですか」と聞かれたら、「気とは、“周波数を持った人間の生命エネルギー”であり、目には見えないが電磁場の様に場として存在する。特徴として“生命情報=意念”を持っていて、病気の治療、健康の維持、潜在能力の開発に非常に役立つものである」と答えますと、述べています。そして、「意識は、一つの特殊な物質であり、一つの特殊な場であり、一つの特殊な物理的効能であり、物質との関係は、奇妙な全息律の関係です」とも述べています。
以上、秦西平師の広大深淵なる気超科学・宇宙生命哲学新病気学の全貌のほんの入り口をご紹介したに過ぎませんが、本日の秦西平師の講演の理解の一助になれば幸甚です。
秦師の哲学と、中国の人でありながら、日本人を健康に導こうとしている姿勢には、本当に素晴らしいと思います。統合医療の第一人者である、帯津良一医学博士も、秦先生の少林寺気功の生徒の一人であり、先ほど紹介した師の著書「少林寺気功理論」に推薦の辞を寄稿しておられます。
徳永康夫 拝
尚、秦西平師は、その他にも、「少林寺気功健康法(グラフ社)」「嵩山少林寺第34代最高師範のこれが気功と武術だ(三五館)」「華の少林寺ダイエット(三五館)」などの著書、DVDに「少林寺秘伝・驚異の健康気功」があります。
以上