中国の雑技団にひとりの有名な人がいました。
得意技を持っていて、ナイフ片手に小さい蚊やハエが飛んでいる時にパッと切ることが出来ます。
このレベルになるには当然にかなりの訓練と修行をしました。
そしてこの人は禅に対して非常に関心を持っていました。
ある日、話に聞いた有名な禅師がいる所に出掛け、是非とも弟子にしてほしいと言いました。
禅師はその人に「あなたはどういう仕事ですか?」と訊ねました。
「私は雑技団にいてナイフで蚊とハエを切る得意技をお客さんに披露しています。」
禅師はまた聞きました。
「雑技団の演技の最中はかなり賑やかでしょう。そんな中どういうふうにあなたは
心は乱れずに集中してその得意技をやりますか?」
その人は、自分は長い間の経験がありますから、こうしようと思ったら
すぐに心身統一ができますと答えました。
この話を聞いた禅師は、その雑技団の人に向かって「あなたは私に付いて禅を習うは必要はもう
ないでしょう。」と言いました。
雑技団の人は急にそんなことを言われても訳がわかりませんでした。
すると禅師は、「あなたはもう禅の状態になりました。禅とはひとつは修練です。
勉強をして、そして何をやっても禅の状態になると、これは禅のことです。
禅は言葉の表面的なものではなくて実際のことです。」と話しました