私たちが実践している少林寺気功を通じて身体が整っていきますが、心身に対して、どのような影響を与えるでしょうか。
少林寺気功は、その「動作」と同時に「呼吸」も合わせます。さらに「イメージ」をして行います。身体の外面と内面(内臓系、神経系、内分泌や血液、さらに筋肉など)が統一されていきます。
少林寺気功の全身運動により、血行も促進されます。また新陳代謝も良くなります。呼吸も深くなり、酸素量が増えて全身に行き渡り、「気」の流れも良くなります。さらに「イメージ」して行うことにより、身体の一つひとつの細胞まで刺激されて統一されるのです。さらに練習をすることによって、様々な良性的情報が身体に入っていくのです。そのため、どんどん身体が整い、元気になっていくのです。この元気というのは、単に筋肉だけではなく、内臓も元気に強くなっていくのです。

漢方や中医学的に説明いたしますと、身体には「五臓」があります。この中の一つ、心臓は、少林寺気功の運動により、強化されて元気になります。さらに血液循環が良くなり、血行が促進されます。
五行学説で言いますと、その中の“火”が強くなります。心臓は5つのうち、「神」を支えます。(神の家とも言います。)この「神」は、夏の前半に南に向いて、赤色のイメージをして行います。赤色の気は自分の心臓に入ります。そうすると神は強くなります。ですから、心臓を強くさせるよう少林寺気功を行います。
また「魂」を強くさせるには、春の季節に練習することが望ましく、人間の体を鍛えるのには一番有効です。朝、東に向いて青色をイメージしながら行います。青色の気は肝臓の中に入ります。そうすると魂は強くなります。なお、五行の中の“木”が強くなります。
次に「意」は、季節は夏の後半、方位は中央になりますから(私たちは北半球に住んでいますから)南の方角に向いて、黄色のイメージをして練習をするのが一番効果的になります。黄色の気は脾臓に入り、意は強くなります。なお、五行の中の“土”が強くなります。
続いて「魄」の場合は秋になります。方向は西に向いて、白色をイメージいたします。そうすれば、肺に入り、魄を育てます。なお、五行の中の“金”が強くなります。
最後に志(精)を鍛えるのは冬です。北に向き、黒色をイメージいたしましょう。そうすれば腎臓に入り、志(精)を強くさせます。なお、五行の中の“水”が強くなります。
以上のように、少林寺気功の練習を行うことにより、身体が整えられて五臓が強くなります。そして精神の面の「五神志」を鍛え、強くして元気にさせることができるのです。身体(五臓)を強くしていくと、心の5つの神志(神、魂、意、魄、志)は強くなっていくのです。

体を鍛えることによって、心を鍛えることが可能なのです。少林寺気功の実践の方法は、実は難しくありません。また少林拳(少林寺武術)の練習の場合、“六合”の“内三合”と言い、自分の心と意念を合わせて行うこと、そして意念と気を合わせ、さらに気と力を合わせて実践していくことが大切であり、協調させることが大事なのです。こういう意識を持って練習していけば、心と体を同時に成長させて強くなります。少林寺気功、または少林寺武術により、身体の外部(筋肉や骨、皮膚など)と内部(精、気、神 ※この3つは内面の宝とも呼ばれます)が強くなっていくのです。

少林寺気功の練習により、「精」はどんどん強くなっていきます。精には先天的な精と後天的な精があります。先天的な精とは、生まれつきの精のことであり、五臓の腎のところにあり、少林寺気功の練習によって精は強くなります。後天的な精とは、五臓の脾と胃のところにあり、食事により、その食べ物の栄養分によって精は強くなります。「精」が強くなりますと、(精は気の材料ですから)気も強くなります。少林寺気功の中に『練精化気』という段階があります。この練習により、さらに気は強くなっていくのです。こうして気が強くなり、『練気還神』の段階までいきますと「神」に戻る、あるいは気から「精)」を養成するのです。

気を強くする練習をして、心を元気に強くさせるというのは、「精、気、神」の関係で説明することができます。身体の中で意識をして練習する場所は、「下丹田」であります。法力の場所であり、人間の精の存在(気の倉庫)のところに、主に精を鍛えます。続いて「中丹田」は願力(※3つの内面の宝)の場所であり、気を強くさせる練習の場所であります。最後に「上丹田」。これは眉間のところでありますが、神(精神と意識と関係があります)の場所です。
少林寺気功の練習を、より深く実践していき、下丹田から中丹田、そして上丹田と鍛え、精、気、さらに神と強くしていき、「心」を強くしていくことができるのです。