全日本少林寺気功協会の指導員コースの認定旅行及び少林寺修行の旅は8月15日〜22日の日程で開催され、無事、大成功に終わりました。

今回は非常に豊かな内容で深い交流や学びがあり、まさに修行の旅となりました。

全体的に本協会の指導員達はまず第一日目に管長及び何十人もの武僧、あるいは100名ほどのヨーロッパの方々の前で演武を行いました。この演武では各期生や指導員としてのそれぞれの段階(気功師や師範など)に合わせて日頃の修練の内容を披露するとともに気功舞といった内容もありました。

その中でも特に今回はいつも違う内容として一人の師範は難病を患い、この病気と闘ってきた結果として(まだその途上ではありますが)演武を披露しました。はじめは立つこともできないような状態で日本の一流のトップの病院二つからは「絶対治らない、回復はあり得ない」と明言されたにもかかわらず少林寺気功の練習を中心としてたった三、四ヶ月で驚くほどの回復を見せ、ギリギリのレベルではあるものの観音掌の演武を管長の前で披露しました。

中国には「家の恥は外に決して出してはいけない」という諺があります。しかし当協会はありのままで、病人は病人、健康な健康な人としてそのまま出しました。もちろん、これに対して世界の目線はそれぞれあるかもしれません。しかし基本的にこれぐらいまで治ったということは事実です。当然にその演武は高いレベルとは言えません。しかし協会の長年の治療の特徴や方針としてそのままに表しました。

また最後は武僧の力強い素晴らしい演武で盛り上がり、ヨーロッパのグループとの交流もありました。

認定式と交流会ののちは少林寺による正式なお守り授与式が執り行われました。日本でも神社さんやお寺でお札やお守りの授与はありますが、協会で準備した皆さんにお渡しする数珠に健康回復・運命改善のための気を入れてもらうだけでなく、今回初めての試みとして皆さんが自分で用意したグッズにも祈祷してもらいました。もちろん少林寺の許可を事前に得てのことではありましたが、高額な儀式ですしできるだけ皆様にとって幅広く良い効果があるようにと考えてのことでした。

式のあとは、観光組は達磨堂や塔林といった少林寺の周辺を優秀なガイドの朱さんによる本当の素晴らしい説明を受けながら一通り散策しました。

他の人達は今回のもう一つの特徴である少林寺の段位取得(一段、二段、三段)のための修行に取り掛かりました。16日は午前中から少し体験して午後から本格的にという形です。最終的に審査の結果、四人は三段まで、三人は一段を取得するという素晴らしい結果になりました。本当におめでとうございます。しかし、厳しい指導があったことも事実でした。その原因としてひとつは私達の中心はお婆さんお爺さんと言ってよい年齢の中高年と子供で筋肉の強い外国の若い人達とは基礎的な体力が比較にならないこと、もうひとつは他の参加者は一年のうち何ヶ月も少林寺に滞在して修行をしている人達ばかりということもありました。

また、今回の参加者は気功指導員コースを中心とした人たちばかりで武術の細かい所の差が出るのは当然のことです。結構、厳しい指導やかなり厳しく怒られました。最終的には合格でしたがその中で表されていることを全体的に分析した結果、大きくは二つの結論に至りました。

一つは、少林寺の管長は現在、学歴もあり業務的に反応も早く対応も良い若い世代を重用しているということ。もう一つは歴史が示すように少林寺武術はもちろん禅の心もありますが、やはり本当の武道としての強さが世の中に知られており、若い人や健康で元気な人が更に強くなるという印象です。

これに対して当協会の30年前からの方針は、世の中のそれ以外の人、中高年、あるいは病気の人、体と心が弱い病の人に合わせた内容を教えるというものです。私が日本に来てすぐの頃、2回ほど武術の体験をしてもらう機会がありましたが、いずれも全員が倒れて口から泡を出して顔は真っ白という状態でした。こうした状況や他のさまざまなことを踏まえて当協会の方針は主に心身が弱い人に対して少林寺気功を中心として教えるというものでした。

これまでの旅行では武術学校での留学がメインでしたからレベルを下げるように交渉できましたが、今回は少林寺から直接の段位審査ということで協会の参加者は欧米の人たちと比べて体も弱く年齢も高いにもかかわらず指導者の対応はあまり変わらず、かなり厳しく、言葉も選ばない状態でした。私はもちろん間に入ってできるだけ中和して皆さんにあまり伝わらないように通訳もしませんでした(そのまま伝えていたら多くの人は続けられない可能性が大いにありました)。指導者たちは主に若い人たちですから自分の世界で自分が習い経験した武術はほとんど体が強い人たちのためのものです。ですから、合格に関しては私も裏で皆さんがよく理解できるように様々な配慮が必要でした。

こうしたことからの結論としては、私は少林寺のこうした状況に対してもっと続けて努力してできるだけ全ての人が武術をできるようにすることと、もう一つは本協会の今の方針として少林寺気功によって皆さんの心身の癒しから段々と元気・健康になって、次は強くなるという順番の内容としてのプログラムと教える方法は今の少林寺と比べてかなり差があるということです。簡単に言うと武僧が日本に来て教えるとなると数ヶ月も経たずに家(中国)に帰ってしまうと思います。本人も嫌になるかもしれないし習う人も続けられないからです。

ですから本協会の育ててきた指導員たちはもっと頑張ってほしい。具体的には体力は色々な面で少林寺に近づけて、更に協会で教えている内容をより深く理解すると言うことです。今、世界で100以上の少林寺のセンターがありますが、やはりこれぐらい中高年、あるいは弱者に対してできるのはおそらく全日本少林寺気功協会だけです。

今回は試しとして少林寺の段位審査にぶつかってみた結論としては、やはり皆さんは当協会の教えているものを練習してもっと内容を大事にして理解することによって、もっと世の中に役に立つのではないかと言うことです。

私は今回の少林寺認定旅行を通してこのことを強く感じました。

もちろんヨーロッパの人たちは今の少林寺の段位の内容を主に青少年を中心に広めて今回は500人を連れてきました。これに比べて私達は17人です。ですから正直な話、今までのようにあまり大切にされませんでした。ただ、少林寺の認定旅行を20年以上続けてできるのは本協会だけです。他のどこでもちょこちょこ開催するだけです。アメリカのエンネンさんの所も少林寺に一度連れて行っただけで終わってしまいました。他の所でも多くて二、三年続くくらいです。そういう意味で本当の少林寺の中身、あるいは今の時代に私達の少林寺に対する使命はどこにあるか、どのように本当に世界に向かっていくか、こういうことをもっと考えて対応すると言うこと。これはアジア少林寺連合会の時にも言ったことですが、少林寺は昔のままでは難しい、何故なら新しい全然違う時代の要求に対して1500年に渡り残ってきたものでどう対応するか、次の時代にどう伝えるかが非常に重大な課題だからです。今回のこともその一つの表れです。

是非、本協会の少林寺気功を一層世界に広めていきたいと思います。

 

全日本少林寺気功協会  会長 秦西平

 

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