先日のお昼、NHKのテレビ番組で、現東京大学名誉教授の姜尚中氏が出ていました。NHKとの会談で、「日本の有名な人物の歴史(人生の道のり)を辿るべく、欧州、中国、そして韓国まで足を運び、その人の師匠にあたる人物像まで探ることで、はじめてその人物の偉大さ、深さが理解できるのです。」というようなことをおっしゃっていました。これは、近代における日本人の考え方や日本人の魂について、本当に知る(理解する)ためには、ただ文章を読むだけでは足りないことを指しており、その人物の人生を一緒に歩むようにして(体験を真似てみて)、その人の成長、気持ちや心が分かるというものでありました。

 今から7~8年前のことですが、私が「少林寺気功教室」の出張で、大阪に出向いていた頃、その帰りにたびたび京都へ訪れ、約3年かけて、ほぼ京都市街の周りの山にあるお寺を見て歩きました。もちろん比叡山延暦寺の130キロを6時間で歩く「千日回峰行」も実践しました。中でも三重県の「日本人の心の代表」とも言われる伊勢神宮には3回参りました。

これらのことは、単にお寺や神社が好きということではなく、また宗教的なことでもなく、「日本人の心」を育てるその環境(山や土地、そこの空気)に身を置く、触れるということで、心を育てる人類の心が理解できるという考えからでした。

 

 今やアメリカのトランプ氏(次期アメリカ大統領)の巻き起こす風は世界中に影響を与えていますが、こういった出来事について、私からしてみれば何ら不思議なこととは感じません。なぜなら、トランプ氏は政治家としての経験がなく、また軍隊に所属していた経験もなかったのですが、そのような人物がいきなり政治家として、さらに国のトップに立つのですから当然のことです。私はここ数年、ビジネス養成の中でも、同じような観点について、次のように説明してきました。

「人間の成功とは、主に“内面の素質”が大事である。」

トランプ氏は、個性と技術(テクニック)は抜群でありますが、政治家としてはふさわしくありません。でも成功の中身は、その人の素質です。一企業家としては成功を収めましたので、成功の素質を持っているのです。

 “成功する人は、どこでも、何をしても成功する。しかし失敗する人は、どこでも、何をしても失敗する。”と言うことです。

 あくまでもトランプ氏が今後、人々のために良いことをしていくことを意味しているわけではありませんが、まったく専門外の人間でも、世界に注目され、今回の選挙に勝ったということは、トランプ氏自身の個性の中の能力における教条的且つ一般のルールなどは一切無視して、本人の頭脳(心)で、そしてその行動で一生懸命に変えていったからであります。実は、このことは「禅」の本質と似ています。禅とは、知識ではなく、中身の能力の方が重要だからです。

 

 もう一つ、最近の「本」の話題から、「見てる、知ってる、考えてる」(中島芭旺 著)がベストセラーとなり、大変マスコミ等も取り上げられておりますが、その内容については私自身の幼少時代と似ている(学問に関して)部分があります。また行動力も似ているところがあります。実際には、私のほうが前に進んでおり、幅広く実践に活かしています。

 

私たちが実践している「少林寺気功」の気功の本質を理解し、深めていき、一生懸命練習をしましたら、それだけに留まらず、どこでも何にでも成功していけるのです。