少林寺気功など中国武術及び日本の武道、その他あらゆる運動、または体操などの練習には、それぞれレベル(段階)があります。
第一のレベルは、身体が(中国武術で言えば)その武術の技術が正確に身に付けること、そして表現することです。また技術の要求された動きをすることができること、さらに全面的に再現することができることです。これは、他のダンスでも体操でも同様のことです。この第一段階では、あくまでも肉体で覚える(まるでコピーのように、そのまま表す)といった段階なのです。
続く第二のレベルは、肉体(外面)だけでなく、自己の内面の表現もできるようになることです。それは武術の型が正確であったり、きれいに表現できて、内面の要求されるパワー(あるいは体内のエネルギー)と一緒に表現することができること(外面と内面を一つにすること)の段階です。
次に第三のレベルでは、覚えたものを演武して行なったり、格闘技で試合をする(相手と戦うなど)時、相手に合わせ(利用して)相手の技術に自分を合わせてチャンスをつくり、やられないようにすることです。自分が思うようにできること、それは「禅武合一」と言います。
または自分と周りの環境を一つにすることができることであります。バラバラではなく、一つになることができるようになること、周りの空気(寒さや暑さなど)を感じとり、表現(順応)させることができること、それは「天人合一(宇宙と自分が一つになること)」と言います。
自分の外面と内面も合わせて、さらに年齢も合わせます。
第四の段階は、第三のレベルで「禅武合一」、「天人合一」と言いましたが、この“一”とは何に向き合わせるのでしょうか?内面でしょうか?それとも外面のことでしょうか?または技術、いや心でしょうか?しかしこれらは、まだ第三の段階です。さらに上のレベルに上がるためには“空”になることです。ただ向き合わせるのではなく、“一”になれたら、存在のない状態であり、空になっているのです。もしあなたがなれたら、第四の段階になったということです。
実際に日本の武道でも中国の武術でも神業と言われるほどの達人は、空の状態であると言えます。昨年、嵩山少林寺で開催されました首届少林无遮大会で、本協会の会員の演武に会場の皆さんは大変驚きました。その人は小柄でありながら、その状態は“空”になって、これまで出来ないことが可能にしてしまいました。
普通は誰でも外面(筋肉)は鍛え上げても、内面(パワー、体内のエネルギー)まではなかなかいきつきません。しかし“空”になって、パワーを持てれば最高状態になります。これは何も武道や武術だけでなく、仕事などでも活かされるのです。
是非、これらのことを理解して、自己に磨きをかけ、応用させてください。