皆さん、おはようございます。
本日は、ここの期生のAさんについて少しお話いたしましょう。Aさんは指導員養成コースと武術教室の両方に参加して練習しています。年齢は60代前半です。一緒に練習している同期生の方々はご存知だと思いますが、この中でも、特にAさんは一番覚えるのが遅いですね。そのことに対しては、ご本人もしっかり認めています。実は、この認識して自覚するということ、また違和感を持たずにさらに前に進もうとする姿勢は、とても大事なことであります。
 私たちは、「少林寺気功」を習う上で(他のことでも同様ですが、)重要なことは、正直な心を持って臨むこと、また素直な気持ちで自己を見つめて練習すること、さらに実行に移していくということが大事なのです。
 (中国でも)真摯に練習していけば、気功の力によって、ある人は病気が改善したなど、たくさんの事例を聞きます。しかし、ある政治家や役人などは改善がみられないのです。これはなぜかと言うと、彼らは勝手な自己判断をしていき(よく分かっていないのにも関わらず)、ああすればいい、こうすればいいと悩みを持つので、結果的に良くならないのです。(中国文化革命の時代、)気功によって、難病も克服しています。当時、ある政治家や警察などの役人の方々、または会社組織のリーダーたちは、社会が混乱していく中、他人を騙すという輩が出てきました。しかしこんな時でも、正直で素直な心を持つような人が「良い結果」を出すのです。

 話は戻り、武術教室にも通うAさんですが、(私たちは年齢を重ねると体力が弱くなっていきますが、)60歳を超えていますから、人一倍苦労して行っています。元々体力があるわけでもなく、また運動が得意というわけでもないのです。  
しかし(私も息子に読み聞かせしている童話の中にある)「うさぎとかめ」の物語を思い出します。決してお話ではなく、現実社会の中でも、こういうことが起きているのです。
残念ながら、Aさんもすぐに身体的に効果が表れているわけでもありません。ご本人に聞きましたら、血圧が髙いとのことであります。しかしこれは食事の時、塩分を取りすぎているという原因もあるようなので、それではいくら気功の練習をしても、結果は良くなりません。
 誰でも「少林寺気功」を学び覚えれば、悪いところが改善していくというような思いや、まるで神様にでも願望を要求するかのように考え、実践しまいます。しかし、決して他のことを抜きにして、必ず良い方向へと導かれるわけではないのです。実は、より良い結果を出すためには、“縁”と“タイミング”、そして“自分の具体的な取り組み方”に関係があるのです。こういうことを理解して、素直に練習していけばいいのです。
 
 話は変わりまして、7月末に中国少林寺で開催されました「2017首届少林无遮大会(嵩山少林寺の世界大会)」に、この期生のIさんが出場いたしました。ことの発端は釋管長からの直々に当協会のご指名もありまして、当協会から日本代表として参加して頂きました。大会当日には、多くのマスコミが中国全土から集まり、まるでスターを囲むかのように取材がありました。これまで(無名であり、)協会の一会員にすぎなかったIさんは、その時、20~30社のマスコミの対応に追われてしまいました。そこには中国でもチャンピオンや有名人が集結していたにも関わらず、こちらにたくさん集まってきたのです。全ては計算していたわけではないのですが、まったく世の中は思いもつかないことが起こるものです。
大事なことは、一つひとつをきちんとこなすこと。仕事でもそうでしょう。計画・設計をして実行していく・・。私が今回、一番伝えたいのは、何度も繰り返しますが“素直な心”です。一人ひとりに事情があったり、都合はあるでしょう。しかし、しっかりすべきことを実行に移していくこと。他のことを考えながらではなく実践すること、これが気功を行う上で、一番大切なことなのです。
 今回、Iさんは“寸勁”を実演いたしましたが、出場の話を最初にした時、ご本人は拒否されました。さらに最初は実践しても成功しなかったのです。しかし武術教室と気功の指導員コースで修業して、自然と出来るようになりました。(このケースでは“武”に活かされることになりましたが、)世の中、何に対してでも、同様のことが起きるのです。
 私たちが練習しているのは、ただ気功するというわけでも、武術を極めて終わりというものではありません。目指すところは、個々の健康の面、仕事の成功、また潜在意識の開発などであります。通常、仕事で何かトラブルがあれば、心が乱れてしまうでしょう。そんな時でも、我を失うことなく、すぐ良い方向に転換できるのです。
 
 ご存知の方も多いと思いますが、2ヶ月前に協会の事務所で、こういうことがありました。事務で使っているパソコンのハードディスクが壊れてしまったのです。すぐに専門業者に復旧依頼をしました。その返答は残念なことに「当社では不可」というものでありました。また当協会会員の中でパソコン関係に強い方やパソコンを専門に仕事をしている方に診てもらいましたが、やはり直すことはできませんでした。
 私は、(先に話しました)少林寺の世界大会へ中国に行った時、この壊れたハードディスクを持って行きました。私の家族の知人にやはり専門の人がいるので、その方に診てもらったのですが、ほぼ復旧に成功し、元通りにすることができました。
 なぜ、私は直せると確信し、中国に持っていったのか。ここには大きく日本人と中国人の考え方の違いがあります。今回のようにハードディスクが復旧できるか?できないか?ということになりますが、まず日本人は「慎重」過ぎるのです。
 もし会社や組織のトップやグループのリーダーなどの立場の人間が、必ずしもあらゆる専門性を持っているとか、知識があるというわけではありません。今回のパソコンのハードディスクが壊れた件に関して言えば、私が一番分からず自信はありません。こういうことが協会で起こらないとは限りません。ですから専門性の高い人がいないというのは、リスクがあるようにも思えます。しかし、何かあれば私は会長ですから、早急に決断をしなければなりません一つは、壊れて復旧出来ないと見込まれたハードディスクの中身を復旧させました。二つ目は、新旧の整合性を信じ、新しいハードディスクを古いパソコンで使用出来るようにさせました。私はパソコンの専門性がありませんが、こういう判断を少林寺気功の力で能力開発されていることにより、いち早くして、良い方向へ導くことができるのです。正しい判断ができること(智慧)は、頭を使う知識を超えるものです。仕事の中では、その中にルールが存在します。そのルールを超えて見えるものがあるのです。
「座禅」という静かな状態になることはよって、宇宙とあなたがつながります。これは勉強して得られるものではありません。世の中、様々な選択を迫られる中で、自然と正しい判断ができるようになります。
少林寺気功を学び、身につけたものによって、得られた能力は、ビジネスにも役立つのです。数年前に会社や組織のトップやリーダーたちのために企画をしたこともあります。
ここで少林寺気功を実践する上での大切なポイントの一つは、動功はあなたの人体面において肉体と心(身心)に周りの気を取り込むこと、二つ目は、身体能力の観点から潜在意識を引き出す訓練なのです。毎回、ただ座って終わりではないのです。
 
当協会で実践している「少林寺気功」の座禅は、潜在意識を開発しているものと言えます。少林寺秘伝の方法により、座禅を行い、脳内は表面意識から、より深い、潜在意識へと入っていくのです。またこれは「右脳の開発」していくと同じです。普通、そういう方法を誰も知りませんし、聞いただけでは理解できないことだと思います。私たちが行っている授業は、一般の人には不可能な少林寺
秘伝の実技なのです。普段は授業の中でこういうことはあまり述べませんが、すでにひとりに効果として表れています。
 ただし、皆さんがどのくらい真摯に練習していくかという気持ちの持ち方や行っているかによって、上達するかどうかは決まってしまいます。それぞれが毎日実践するとか、または週何回すると決めて行うこと、そしてしっかりすべきことを素直になって実践することが、第一条件です。
 次は、毎回どれだけ深く入静することができるかということです。日常生活は慌ただしく、誰もが忙しいものです。しかし雑念が残ったままでは「入静」することはありません。
大切なのは、「平常心」で実践していくことです。
はい、それでは本日もしっかり、「素直」に実践していきましょう。