『少林功夫』とは、「すべてのものの代表である」と嵩山少林寺の釋管長は、常におっしゃられます。特に一般的に言う少林拳や武術などのすべてにおいて、という意味です。
嵩山少林寺のHPのトップページに掲載されている内容を見ますと、少林寺、あるいは少林拳や少林寺武術は、単に一つの少林拳、または一つの流派の武術と言うわけではありません。基本的に少林寺の中に生まれた『総合的なシステム』なのです。またそれは少林寺の「禅」、「武」、「気」、あるいは「医」の4つのことが含まれているシステムのことです。たとえば、少林拳と言っても、拳の中にただ肉体の表現となると、それは“長拳”と呼ばれます。あくまでも「禅」が「心」と一緒にないと、その拳はいくら頑張っても、野生動物の動きは敵わず、彼らはもっと速く、もっと力強いのです。
人間は、心(精神)と自分の意識が、肉体の表現である演武の中に、一緒に染み込んでいるようになれば、生き生きとしたパワーが発揮されるのです。単なる力ではなく、「気」が充満しないと、本物の少林寺の型とは言えません。少林寺の武術は、単に肉体だけではないことを理解して、訓練していかないと、少林寺とかけ離れたものになっていくのです。
簡単に言いますと、(上記の総合的なシステムは、)いくら少林拳でも、もし演武の時、肉体と心を同時に表現しなければ、それは少林拳ではないのです。それでは単なる一つの武術体操に過ぎません。このことは昔でも現代でも変わりません。むしろ現代のほうが、かなり武術体操になっているものが多いのです。
嵩山少林寺の中の長老たち、また少林寺の周りの民間武術家たちの一部は、以上のことを理解しています。梁以全(アハ武術学校の創立者86歳)と劉宝山(塔溝武術学校の創立者 86歳)のお二人に、今から15年以上も前、当協会の認定旅行の際、会う機会がありましたが、「自分は少林寺武術を60数年間やってきて、やっと気のことが分かった」、また「歳を重ねて、気の重要性が理解した。だから継続が大事なのだ。」と、それぞれおっしゃって頂きました。
「気」は「心」と繋がるということです。
嵩山少林寺の『少林寺功夫(少林功夫・少林拳・少林武術)』及び分類について、もう少し詳しくお話いたしましょう。
『少林寺功夫(少林功夫・少林拳・少林武術)』は、一般的な意味の“門派”あるいは、“拳種”ではなく、一つの博大精深の武術体系であります。内容は極めて豊富です。
性質より分類すれば、内功・外功・硬功・軽功・気功などがあります。
「内功」は、たとえば易筋経、洗髄功などの精・気・神を中心で練習することができるようになれば、体は内側から強くなります。また「外功・硬功」とは、体のある部分の強さを強化していきます。たとえば点石功、一指禅、鉄膝などです。これらができるようになれば一本指、膝のパワーだけでも敵を倒すことが可能となります。
「軽功」は、主に飛ぶ力、ジャンプ能力の練習。これにより壁などの側面を走ることができるようになります。
「気功」は、煉氣と養氣があります。“武”と“禅”を身体に一つにして、金剛不壊の心身になり、気功は少林寺功夫の中の最上級レベルなのです。
続いて、少林功夫の用途より分類しますと、自衛と制敵の二種類があります。
「自衛功夫」は、金鐘罩、鉄布衫などができるようになれば、刀、槍も身体に刺さらないのです。
紅砂手、一指禅などは、「制敵功夫」に属します。拳術、兵器と他功法の三種類があります。
その他、長兵器、短兵器、軟兵器などに分けられます。技法により拳術、棍術、刀術、槍術、剣術、格闘術、気功など他、何十種とある。(少林寺内の少林拳譜に記載より 他省略)
歴代伝えられてきた少林功夫型は、708個、拳術と兵器型は552個、その中の拳術、兵器、優秀型は何十種もあります。また七十二絶技、関節技、格闘技、骨外す技、ツボをさす(経絡秘孔)、気功など、各種特別な功法は158法あります。現存する少林功夫型は、拳術178、兵器193、対練59、他115、合計545個があります。
「少林寺気功」は、少林功夫ーの中の高級の形(レベル)の表現なのです。ただし、初級や中級の段階では「気」のことはできません。しかし、昔の武術家は、武術の練習を(50~60年と)何十年間もやり続けて、ようやく“気”のことが解ってきたと言います。
しかしながら、当協会の指導員養成コースでは、初めから“気”について意識していきます。肉体と心(精神)、そして気のことを一緒に鍛えていきます。そのため、一番の近道であり、上達のレベルが高くなります。
さらに私たちの少林拳とは、「少林寺内家拳」と言います。
皆さんにおかれましては、嵩山少林寺の『少林寺功夫(少林功夫・少林拳・少林武術)』及び分類をよく理解して、練習に励みましょう。
特に少林寺武術や少林拳に興味を持っている人は、まず「少林寺気功」をよく練習するようにいたしましょう。