現代中国における“武術”は、多面的に発展し続けています。ひと昔前までは、この武術は「型」だけのものが多くありました。しかし今、型だけでは武術のレベルを表現することができません。そのため中国国内では、数年前から功力(パワー)のある試合が行われるようになりました。
そのため武術を錬磨している人たちは、型だけに止まらず(もちろん型も大事ですが、唯一の表現ではありません)、型から発するもパワーが必要なのでそこに力を注ぎます。本当にその型がどれくらいの力があるのか、またそれを表現することができるか?が武術家の課題となります。

少林武術(少林拳など)の体系化は、少林寺のHPにも掲載されていますが、(※これについては、雑誌の「秘伝」編集者にも話しています。)少林寺全体の中で、少林武術の型の強さを表すものと言えば、それは「少林寺秘伝七十二芸」です。
さらに内面(心)を鍛えるのが、「少林寺気功」なのであります。今大会は、武林大会の1000年の歴史のある中で史上初のことです。武術という技に留まらず、能力的な試合とも言われます。
そのため、今回の武術大会については、世界中から注目を浴びました。中国国内だけでも200社以上のマスコミ関係者が集まりました。非常に人気の高い大会であることが、この数からも証明されます。これは北京オリンピックの時よりも集まったことでしょう。
嵩山少林寺では、近代に入って今回のような催しはありませんでした。また6部門(「禅の弁論大会」や「囲碁の大会」などもありました)に分けてそれぞれにおいて、試合が行われました。中でも一番人気は、「少林寺秘伝七十二芸」の種目の大会です。
この試合も4種目(「鉄砂掌」(重ねたレンガを手で割る)、「二指禅」(人差し指と中指で逆立ち)、「掌上飛刀」(棒手裏剣のような小刀を的に投げる)、「石鎖競技」(75キロの石のおもりを片手で持ち上げる)の4種目)に別れて行われましたが、どれも注目を浴びました。さらに目を引く種目は、鉄砂掌です。これは手でレンガなどを割るというものですが、そのパワーは、はっきり目に見えるのですから、人びとに注目されるのです。
今回、当協会会員の飯塚貴子さんに“寸勁”の演武として出場して頂きました。大会当日、他の出場者よりも多くのマスコミ関係者から取材が殺到しました。披露した“寸勁”は単に力(パワー)で割るというものではなく、内面の功力(内力)によるものでありますから、このことができるのは鉄砂掌の種目の中で当協会だけなのです。実に今大会への出場依頼を釋管長から話を頂いたのは、大会当日まで1ヶ月を切ってからでした。そういう短期間でも、可能にしてしまうというのは、やはり私自身が「嵩山少林寺第34代最高師範」と言われる由縁です。当協会で教えています武術教室は、嵩山少林寺の武術ですが、その中の少林寺内家拳です。一般に幅広く知られている内家拳(または外家拳)というのは、太極拳や八卦掌、形意拳などが挙げられますが、本当はその言い方は正しくありません。そして少林寺の武術の多くは外家拳と言われます。
当協会の少林武術や少林功夫のシステムは、その中に人間の内面の気、パワー、そしてエネルギーを鍛える内容とそれらの深さは、どこの流派よりも一番多いでしょう。ですから、私たちの練習は、特に内面を意識し、呼吸を整えて心と体を統一させます。あるいは意識の仕方に注意を払います。専門的な呼吸法は何十種類もあり、訓練していきます。意識(心)と技(体)、そして息(呼吸)の訓練を行います。さらにレベルを上げる方法も100以上の種類があります。
このように、単に力ではなく、内面の鍛えられた強さによって、今大会で素晴らしい結果を残せたのだと思います。驚くほどのマスコミには注目を浴びましたが、正直、出場するまでこんなに反応があると思いませんでした。しかし私が指導する内容には、他よりもレベルが高いということに自信があります。そして評価されるに値する実績もあります。
当協会の生徒には「少林寺気功」を学び、総合格闘家となってチャンピオンになった会員やアメリカにおいて3年連続武術の総合チャンピオンになった会員、さらに現役のプロレスラーで世界チャンピオンになった指導員もいます。このように素晴らしい結果を出した人たちがたくさんいます(一例)。多くの協会会員の皆さんは、元々自分の中に秘めたパワーのレベルを上げ、また幅を広げることができるように、最大限に自分の能力を上げる訓練を続けていった結果であります。
当協会で指導しています少林寺内家拳とは、相手を倒すことの武術(技)だけでなく、身心にとって、病気を改善する、そして健康になるというものであります。中には長く不妊治療を続けていても効果が表れていなかった人が、当協会の武術教室に入り、2~3ヶ月ほどで身体に変化が表れ、妊娠いたしました。その本人にも確認しましたが、それは不妊治療の薬による効果ではない(実は長く薬を服用していたが、効果がなかった)ということです。少林武術を学びながら、メンタルな部分と身体の若さ、そして元気のレベルアップにより、妊娠に至ったのです。

今回の首届少林无遮大会では、出場した飯塚さんが「最優秀演武賞」を頂きました。さらに中国国内では、マスコミからトップスターの扱いも受けました。こうしたことを裏で支えているのが、少林寺の気功と武術を合わせた「少林寺内家拳」です。

以上のように、少林寺の奥深いところをより多くの日本人の方々に知って頂き、また世界に広め、多くの人の心身の健康や元気、さらに強さなどを高められるよう、人々の役に立てるように生きてほしい、ということが全日本少林寺気功協会の私の希望です。