第五節 気功による呼吸調整が乱れた場合の生理メカニズム(2)
(ニ)正しくない呼吸調整が引き起こす過呼吸について
 肺による換気とは、肺胞気と肺毛細血管の血流の間で行われる、気体の交換を指している。気功練習者の中には、ただ単純に呼吸を深く伸ばそうとして、深く腹式呼吸をしたり、機械的に息を吐き出す時間を長くして吸い込む時間を短くしたりする。このような事をした場合、肺が出す二酸化炭素(H2CO3)の速度と量は、身体のの実際の新陳代謝から生じた速度と量を上回っているため、血流中の二酸化炭素分圧を低下させて、過呼吸に陥る。この時、脳血管が相対的に収縮され、脳血流量が減少し、「めまいや注意力散漫、疲労」など現れる。腎臓が水素(H)の分泌とアンモニウム(NH4)の発生を減少させ、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の排出を増加させるので、炭酸水素ナトリウムと二酸化炭素は、血液中の正常比値が維持される。もし、充分な代償が得られなかったら、比値が大きくなって、血液PHが高くなり、吸収性アルカリ中毒症状が起こる。このとき、血漿中遊離カルシウムイオンの含有量が減少し、筋肉神経の興奮が増すため、気功練習者は四肢の筋肉がひきつり、手足や唇がしびれるなど痙攣を引き起こす。