【第六章 気功の消化器系統に対する効果】

第三節 気功の辟谷に対する生理基礎(3)

 気功練習者の集団による辟谷を行った際に

気功練習者の集団が辟谷を行った際に、体重や呼吸、血圧、心電図といった各生理指標の調査を行い、総合分析した結果、以下の事柄がわかった。

(1)短期断食は、組織代謝の乱れを招くかもしれないが、辟谷実験者53名の体液生化指標によって、短期辟谷は身体に明らかな損害を与えないことがわかった。

(2)辟谷は血中の「グリセリン+エステル」とコレステロールが減少し、高血脂および心血管系統の治療に良い効果をもたらすことが、可能である。

(3)HDL(高密度脂蛋白)の観察によれば、辟谷はHDLを上昇させることができ、心血管系統の病気の治療に高い意義を有している。しかし、辟谷の時間の長さによって、効果は異なる。

(4)糖尿病の患者に対して行った実験の観察と、その他の単独検査によれば、辟谷は血糖値を低減させる作用がある。一方、血糖値が正常な者の場合は、血糖値の安定が維持できる。

(5)辟谷は健康美をもたらし、体重の減少・増加の調節が可能である。

(6)辟谷によって、有機体の免疫機能を向上させ、血液が持つ機能を改善させることが可能となる。

(7)短期辟谷は、血清総蛋白を高めることができる。辟谷を行っている時には、一種特殊な蛋白合成ルートが形成されるが、そのメカニズムについてはさらなる研究が待たれる。

(8)気功の練習をしたことがない研究者が、短期間の特殊訓練を行って、気功辟谷を行うことが出来るようになった。このことは、経験を積んだ気功師の指導の元であれば、辟谷は一般の人々に広めることが可能だということだ。

 要するに、気功辟谷は、西洋の飢餓療法の長所を持ちつつも、その副作用を避けたものである。辟谷は、一般の気功と比較して、独特な効果があり、現代文明病を治療するための理想的な方法であると言えよう。

【第六章 気功の消化器系統に対する効果】2003年10月19日(日)

第三節 気功の辟谷に対する生理基礎(2)

辟谷の過程はだいたい三段階に分けられる。

 1.予備段階:飲食習慣が変わる。普段好んでいる食物が食べたくなくなったり、或いは食事の量が極端に少なくなったり、食前にげっぷが出たりする。また時により、喉頭部に「吐き出せもせず、飲み込むこともできない」という、喉につかえるような感じが出る。食後に腹部が張る。腸内の機能が活性化し、腹部が絶えず鳴ったり、絶えずガスが出たりする。

 2.断食段階:飢餓感がなく、飲食したくなくなくなる。果物を食べるだけ、お湯を飲むだけで、身軽で元気になる。なおかつ、通常と同じ体力労働と頭脳労働に従事できる。人によっては、一日中気功を行っている状態になり、気に対する感覚が非常に強くなるものもいる。

 3.終了段階:飢餓感が次第に回復してきて、時には急に猛烈な飢餓感を覚えて物を食べたくなる。この時、舌の感覚ははっきりしており、呼吸をしても口臭や変わった味覚もなく、爽やかですがすがしい気持ちになるが、このような状態によって、辟谷を終了すべき時が来たことがわかる。