他人の恩を受けた時、その恩が、深くても返さない人もいます。
逆に他人の少し傷ついた場合に、やり返したりする人もいます。
他人の噂などを聞くと、よく事実を確認せずに簡単に信じたりします。
でも他人のいいことについて聞くと、なんとなく疑う。
世の中には、こういうことがよくあります。
禅の修行は、まず、心から恩を返して、傷があってもやり返さない。
恩が、深ければ、感謝の気持ちも深くなります。
これは、当然のことです。
他人の噂を聞いても、聞こえないように。
つまり、まず、人間らしく次は、上の段階にだんだん上がる。
仏教の修行は、普通、感情でないといわれますが、
それは、個人の感情ではなくて、もっと大きな感情。
例えば、人間に対して、動物、植物、虫までの感情。
虫を殺さない、動物を殺さない、当然、人間に対しての
恨みもしない。
もっと広い心があったら、文句も言わない、不満も言わない、
こういう心は、禅の修行の最基本です。
今まで色々な角度から、あれも禅、これも禅、ということを
お話してきました。
もちろん、これらは、禅の最後の状態ではありませんが、
禅の入門のときに、必ずやらなければならないことです。
だから、禅のことは、まずここからスタートということです。