今回は、少林寺武術の型と少林寺秘伝72芸との関係について、お話しいたします。この度、皆さんにはNHK・BSプレミアムの番組(1月30日午後7時より放送)をご覧になって頂けると思いますが、日頃、協会の各教室で習って知っている少林寺武術の型をたくさん披露いたします。番組ではメインで登場するタレントの武井壮さんが少林寺武術の基礎や七星拳や五歩拳などを習いました。また少林寺武僧による指禅功の演武、さらに私も(時間の許す限りではありますが)いくつか演武を披露いたしました。私が披露した演武は、少林寺秘伝の「玄空拳(パンチでローソクの火を消す)」や「鉄頭功(頭頂を鉄板で打つ)」、少林寺秘伝72芸の中から「四段功」、さらに「鞭勁功(腕力で相手を制することができる)」などです。そして武井さんに指導したのは、72芸のうち「四段功」です。
 さて、この少林寺秘伝72芸とはどういうものでしょうか?皆さんは少林寺の「型」はご存じだと思いますが、実は700以上あります。日本の武道(空手など)にも型というものがありますね。
 72芸の中で11芸である四段功以外は、基本的に人体の各部分を特に能力を訓練して鍛える方法です。ただし、これらはすべて「気」を基礎として鍛える方法であります。※外・内部72種類(外練36+内練36=72)
頭の天辺から足の先まで各部分を強化し、能力(スピードやパワーなど)を向上させるために鍛えるのです。
 それでは少林寺武術の実践的な72芸と演武の型との関係はどうでしょうか?「型」と言えばポーズや技などでありますが、型の評価とは、たとえば突いた拳がどれくらいの力と硬さがあるのか?蹴りをした時、速さはどれくらいかといった能力です。
 少林寺功夫や武術は外部(表面的なこと)である「型」のことを指し、中身の“能力”を表す、または“もっと真髄的なもの”は少林寺秘伝72芸なのです。そのため72芸はとても重要なことであると言えます。そしてこの訓練にあたっての重要なポイントは「気」であり、実践しなければならないことは「気功」なのです。人体の各部分の能力を高めるためには、その基礎となる「気」を鍛え発揮させて、効果を表すのです。「気」を表す具体的な部分や表現は、すべてこの72芸であり、これらの基礎となるのが「気功」なのです。
 当協会が指導する「気功」は、古くからの少林寺から伝承されている「武術」と「禅」の訓練における一番関連のある気功であります。また72芸については、今から千年以上も前から、少林寺武僧が鍛えるために実践してきた「鍛える方法」をまとめたものが、現在の少林寺の「気功」です。
 
現代は(昔とは違い)、“強さ”より、むしろ“健康(養生)”や“自己の潜在能力を引き出す”といったことが重要視されています。ですから当協会で教えている「気功」はただ強くなるためというわけではありません。「気功」によって、もっと大勢の人の助けになり、役に立つものに訓練していく必要があります。その成果の表れとして、自分自身や身の周りの人たちも、さらには世界の人々も人生がすばらしく、もっとうまくいけるように、そして幸せになるようになっていくのです。
さらに社会的にも役に立つ活動していくために、この「気功」が大いに活用できるよう当協会のシステムとして組まれています。ただし、中には元々の72芸の実践方法などがあります。(どうぞ今回のNHKの番組をご覧になって、学んでみてください。)
今回、私が行った演武は少しだけですが、少林寺にはもっと膨大で且つ深いレベルのものがたくさんあります。
皆さんにおかれましても、日頃からどんどん練習を深めていくようにいたしましょう。レベルアップしていけば、その成果として各能力がすでに表れている場合もあるのです。