今回、少林寺旅行に参加されたI様ご夫婦は後半武術留学をされました。奥様のお母様は今回少林寺気功指導員の認定式で参加されました。
家族で一緒に旅行出来たのも楽しい思い出となったそうです。現在、秦先生の武術教室にお二人で通われていて、この留学で武術の腕もとても上がりました。
I様(ご主人様)
初日は天気がよく、武術学校のグランドは生徒達の熱気で溢れていた。我々が3日間学ぶ武道場の目の前で上半身裸の生徒達が2段蹴りの練習をしている。非常に高く力強く飛ぶ姿は、我々に強い印象を与えた。これが本物の武術学校の練習なのだ。
武道場の中に入ってしばらくすると、先生方が現れた。横一列に並ぶ先生の中に児童が一人。この子はなんと、童子功の先生だった。まだ5歳の子供だが、来賓に披露する武術パフォーマンスでは中央で花形を務める学校のアイドルだ。
先生はほとんどが16~18歳で、18,000人以上いるというこの武術学校の生徒の中で特別に選ばれた60人ほどのエリート達だ。
初日は総勢13名の参加となった。 私の先生は真面目で厳しい人だった。年齢は16歳で、学校でもコーチを務めている。ひとつの動作ができるまで丁寧に教え、時折基本功なども取り入れて、正確な動作を伝える工夫をしてくれた。言葉は通じないが言わんとすることはよく分かった。これまでの武術の経験のおかげだと思う。
先生たちは我々の覚えの悪さにもめげず、根気良く丁寧に教えてくれた。午前2時間、休憩5時間、午後2時間というスケジュールだったが、なんとか一通り套路を覚えることができたのは、先生の熱心な指導のおかげだ。
テレビもパソコンも見ずにひたすら武術に励む日々は日本では得られない特別な時間だった。武術以外何もしない一日であるからこそ、無心になって功夫に打ち込むことができたのだと思う。
I様(奥様)
私は今回の旅で3日間武術学校へ通った。中日の16日は、小洪拳を新たに覚えつつ、前日に習った大洪拳の復習もする予定だった。
先生となったのは、全校生徒18000人の中から上位約60人に選ばれた優秀な生徒たち。15〜18歳の子たちにほぼマンツーマンで教わる。
しかし小洪拳は、もっと小さい時に習うらしく、18歳の私の先生はよく覚えていないようだ。仕方なく、彼は近くにいた武術の授業中の12歳ぐらいの子を連れてきて、この子に習えと言う。
武術指導は全て中国語。言葉が分からない私でも、粘り強く何度も同じ動作を繰り返してくれるため、問題なかった。そのうちに、向こうが何を言っているのか、段々と分かってくるのも不思議だった。
必死だったせいか、午前中で小洪拳のだいたいの流れを覚えることができた。昼の自習時間に小洪拳と前日の大洪拳をおさらいし、夕方までには、おぼろげながらもこの2つの型を覚えた。
仕事や悩みを忘れ、日常生活を離れてひたすら武術に没頭できたのはとても有意義だった。3日間という短い時間であったが、身体が日に日に柔らかくなり、覚えも早くなり、毎日の鍛錬が大事だと実感した武術留学でした。